超能力もなければ、幽霊が見えるわけでもない。
勉強も運動もそこそこ得意だけれど、世界を揺るがす天才でもなければ、屋根から屋根へ走り回る超人でもない。
真面目が取り得の高校生――それが、俺。野沢和希。高校1年生。
道端で、猛獣に襲われることなんてなかった。
魔法で怪我を治してもらったこともなかった。
剣を握るどころか、見たことさえなかった。
王子様なんて、海外の出来事だと思ってた。
宝探しに行くことも、『魔の山』なんて胡散臭いものも、盗賊なんて職業も、ドラゴンなんて生き物も……王女様とのロマンスも。
そんなの、ゲームや映画の世界の出来事だった。
……先日までは。
8つの王国、公国の入り混じった複合型帝国アルトガーデン。
その帝国を統べるヴァルス王国の国王クレメンスは病に臥せっていた。
嫡子は、王女。
最愛の一人娘に、そしてその婚約者で隣国ロンバルト公国の第2王子であるレガードに帝国を託し、クレメンスの治世は終わりを告げようとしている。
だがそんな最中、レガードが唐突に消息不明になった。
彼の行方を追い求めるヴァルス王国は、苦肉の策を捻り出す。
影武者を泳がせて、レガードの行方を……そして何が起こったのかを突き止めよう。
そうして、レガードの影武者として異世界から突如攫われてきた少年カズキ。
それまで、何の変哲もない高校生活を送っていた彼は、いきなり剣を片手に王子の影武者として魔物の徘徊する世界を旅することになる。
――王城の奥でにこにこしてろと言うんだったら、譲歩しよう。いきなり剣を持たせて、ひとりで魔物の徘徊する世界に放り出すとはどういうわけだッ!?
レガードの行方を追って、王女ユリア、傭兵シサー、エルフのニーナ、そして宮廷魔術師の甥である見習い魔術師キグナスと共にヴァルスを旅するカズキだが、ことは次第にヴァルスのみでは済まなくなっていった。
帝国の皇帝位を巡って交錯する思惑、暗躍する黒衣の魔術師、ヴァルス王家の封印された絆。
ヴァルスの主要港ギャヴァンの攻撃を最初として、アルトガーデン全土を巻き込む帝国継承戦争が幕を開く。
――俺は、ユリアの為だったら……死ぬことさえ惜しくない。
惹かれ合っていくのに、通じ合えない想い。
知らない間に築いていく、異世界の彼らとの友情。
必ず失うことは、わかっているはずなのに……。
山へ砂漠へ海へダンジョンへ。
人から人、街から街、国から国、挙句の果ては大陸から大陸。
基本的にはRPG路線、だけど時々帝国継承戦争、剣と魔法の異世界迷込みファンタジーです。
多少の暴力的要素ありかな……。
ライトノベルと思いますが、とりあえず……長いです。
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