上の目次から読みたいトコだけ読んでみて下さい。ま、読まなくても何の問題もありません。
本編に書いていないこと、あるいは今後も書くかどうかわかんないことまで、一応書いてあります。
ヴァルスを少し追加しました(2007/08/30)
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カズキ 「あのさあ、俺、さっさと『王家の塔』済ませて帰るはずだったのに、何かどんどん引きずり込まれてるような気がするのは気のせいなの?」
シサー 「間違いなく事実だろうな」
カズキ 「この分だと俺、いつ帰れるか全然わかんないとか言わない? 困るんだけど」
ユリア 「でも……カズキが帰っちゃうと……寂しいわ」
カズキ 「あッ……俺、しばらくいても良いかな〜……なんて……」
ニーナ 「単純ね」
カズキ 「うるさいなッ」
シェイン 「ユリア様に妙なちょっかいをかけぬように」
カズキ 「……ねえ、何でこのメンツの中に、いきなりシェインがいるわけ」
シェイン 「設定解説だろう。物知りシェインくんがおらずしてどうする」
カズキ 「シサーがいれば十分なんじゃないの」
シェイン 「……知らぬうちに随分カズキを手懐けたようだな」
シサー 「ま、俺はお前と違って役立つこと教えてるからな」
カズキ 「だってちゃんと、ずっと剣の稽古してくれてんだよ。今も」
ニーナ 「シェインなんか、どうせカズキにろくでもないことばっかり教えてたんでしょ」
シェイン 「ニーナは俺に辛口だな。心当たりがないのだが」
ニーナ 「ないわけッ!?」
カズキ 「何かしたの?」
シェイン 「人聞きの悪いことを言うな。シサーが禁軍にいた頃に良く一緒に遊んでいただけではないか」
ニーナ 「それがろくでもないってのよ……。つまんないことばっか教えるんだからッ。シェインと遊ぶのは禁止よ禁止ッ」
シサー 「子供じゃないんだがなあ」
ニーナ 「子供じゃないからタチが悪いって言ってんのよ……」
シサー 「……シェイン。まさかお前、カズキを娼館に連れて行ったりしてねえだろうな?」
シェイン 「……」
(全員の視線が一斉にカズキへ)
カズキ 「えッ!? なッ……。いいいい行ってない、俺、行ってないってッ」
ニーナ 「その慌てぶりが怪しい……」
カズキ 「行ってないったら!! 何でフォローしてくんないんだよシェインッ」
シェイン 「……」
ユリア 「カズキ……」
カズキ 「ユリア、俺、ホント行ってないよ!!」
シェイン 「……カズキ。なぜユリア様に言う?」
シサー 「野暮なこと言いなさんなって」
シェイン 「……ゲヌイト・オムニア・フォルトゥーナ・カウサエ・マナ……」
カズキ 「何する気だシェインーッ」
シェイン 「うるさい。ユリア様にちょっかいを出そうと言う不届き者を放っておくわけにはいかなかろう」
カズキ 「片思いするくらい自由だろッッ……」
ユリア 「えッ……」
カズキ 「あああもう……解説だろ解説ッ……このまんまじゃこれだけで日が暮れちゃうよッ……」
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| 1.北半球 |
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カズキ 「とりあえず地理? 誰か説明してよ」
シェイン 「この世界には基本的に北半球にしか人が文化を築いているような大きな大陸はない」
ユリア 「南半球にも、ないことはないんだけれどね」
カズキ 「あ、そうなの? あるんだ。俺、ないのかと思ってた」
シサー 「まあ、最南端に北と同様に氷の大陸があるらしいんだけどな。あとは基本的に大小さまざまな島が点在してる、と」
カズキ 「シサー、そっちは行かないの?」
ニーナ 「それほど遠くまで行けるほどの航海技術がないのよ、この世界には」
カズキ 「じゃあ何で島があるとか南極があるとか知ってるの?」
シェイン 「かつて空間移動の魔法が盛んに使用されていた頃に、世界のあちこちの調査が進んだのだ」
カズキ 「ああそうなんだ」
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@氷の大陸フレザイル |
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シサー 「最北にはまず氷の大陸フレザイルがある。ここには氷の白竜トラファルガーが棲んでいるんだが、今は永い休眠期についていて活動はしてねえな。氷の魔物なんかも跳梁跋扈している。人間の集落はひとつもねえから、ま、行くような物好きもそうそういない」
カズキ 「そう言えば、パララーザのシリーがさ」
ニーナ 「……カズキ、会ったの?」
カズキ 「あッ……ごめんなさい」
シサー 「いいから。んで? シリーが何だよ?」
カズキ 「あ、うん。シリーが言ってたんだけど、魔剣『ラグナロク』が眠ってるって言ってたよ」
シサー 「ああ……らしいな」
シェイン 「『ラグナロク』は、見つけられても手にすることが出来ぬのだそうだ。まあ俺も詳しくは知らぬが」
カズキ 「ふうん。だから誰も行かないんだ?」
シサー 「ああ。まあ『ラグナロク』については、フレザイルから遥か離れた俺たちよりはツェンカーの人間の方が良く知ってるだろ」
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A東の大陸トートコースト〜バティスタ帝国〜 |
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ニーナ 「で、フレザイルを南下して東にトートコースト大陸。大陸中心地にあるバティスタ帝国が唯一の大国、と言えるわね」
カズキ 「えッ。そうなの? そっちにも帝国があるんだ?」
シェイン 「ああ。この世界における2大帝国と言えるが……あっちはアルトガーデンのような複合国家ではない」
シサー 「あとは小さな国が複数ある。国の数だけで言えば、ローレシアより遥かに多いんだよな。ま、ひとつひとつがちっちぇえんだけど」
ニーナ 「バティスタ帝国内の森の中に風竜イナラシュが棲んでいて、これも休眠期ね」
シサー 「んで、その南海にあるアグナガイル諸島には水竜リヴァイアサン。こいつも、休眠期だ」
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B西の大陸ローレシア〜帝国アルトガーデン〜 |
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ユリア 「そしてフレザイルから南西が、わたしたちの住むローレシア大陸ね」
ニーナ 「ローレシアは後で詳しく説明するからとりあえず、置いておきましょ」
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C南の大陸ラグフォレスト〜4つの王国〜 |
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シェイン 「で、ローレシアとトートコーストの間にラグフォレスト大陸がある」
シサー 「俺の故郷だな。ラグフォレストは4つの均衡した力を持つ王国がある。国境付近で小競り合いなんかがないとは言わないが、ま、概ね内部での戦争はあんまりねえな」
ニーナ 「その代わり、ラグフォレストは人同士の闘争よりは人間と魔物との闘争の方が、顕著なのよね」
シサー 「ああ。だからこそ4つの王国が協力体制で人を守るってことになってんだろうが」
シェイン 「ラグフォレストには地竜サンドストーンがいたな、確か」
シサー 「ああ。砂漠ん中にな。まあ見たことはねえけど。こいつも例に漏れず休眠期だしな」
ニーナ 「そして、ローレシアとラグフォレストの間の南海には……ヘルザードがあるのよね」
カズキ 「ヘルザード? って何だっけ?」
シサー 「言っただろー。黒竜グロダールの棲んでた島だよ」
カズキ 「ああ……そういやそうだっけ。忘れてた。あんまり関係ないもんだから」
シェイン 「小さな島なのだがな。まさしくグロダールが棲むためだけにあったような島だ」
ニーナ 「島の中心部に火山があるのよ。その火口に棲んでたって聞いたわよ」
カズキ 「熱くないの? そういうもん?」
シサー 「……んなこと言ったら、氷竜だって『寒くないの』って話になんだろが」
カズキ 「うッ……」
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| 2.ローレシア大陸(帝国外の国) |
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@最北端の国ワインバーガ王国 |
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シェイン 「ローレシアには現在12の国がある。まずはローレシア最北のワインバーガ王国。これは独立国家だな」
シサー 「標高の高い山がいくつかあって、水がうまいんだよな、ワインバーガは。今は確か、女王が治めていたはずだったな」
シェイン 「ああ。軍部が権力を握っている国家だ。現女王も軍部の後押しを得て、自分で軍を率い、継承戦争の末に就任したはずだ。国家としては北海貿易と放牧、機械業で食っているな」
ニーナ 「今は国家としては安定してはいるのよね。何でもまだ結構若い女王なんじゃなかったっけ」
シサー 「ただ、ヴァルスとは国交が特にねえから、情勢が詳しいことは良くわかんねえんだよな」
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Aローレシア唯一の共和制国家ツェンカー独立自治領
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ニーナ 「それからワインバーガに近接するツェンカー自治領」
カズキ 「ツェンカー自治領って、ワインバーガと並んでトラファルガーの攻撃を受けやすいんでしょ? 協力体制とかになんないの?」
シェイン 「かつてそういった試みもあったようなのだがな。やはり片や市民から代表を選ぶ選挙制で片や王政とあらば、どちらかが政治的に妥協せねばならぬだろう。ワインバーガにしてみればツェンカー領を併合しようとするだろうし、ツェンカーは王を廃立しようとする。ま、噛みあわぬな」
カズキ 「それもそうか」
シサー 「だからあの国境地帯は紛争が絶えねえな。おかげでこっちは食いっぱぐれずに済むわけだが」
ニーナ 「ツェンカーは毛織物産業と手工業が盛んなのよね」
カズキ 「ワインバーガは放牧やってんのに自分とこでは毛織物やんないの」
ニーナ 「やってるけど、技術がツェンカーの方が上なのよ。だからツェンカーに輸出してたりもするわ」
カズキ 「……仲良いじゃん……」
シサー 「だからまあ、紛争はちょこちょこ起こっても、本格的な抗争にまでは発展しないんだよな。小競り合い程度で」
シェイン 「ツェンカーは独立自治領と言うだけあって、さっきも言ったがリーダーが領内市民の中から選挙で選ばれる。現在、先の代表者の任期が終了し、北部の街ロドの代表アルディアと南部の小さな町ベイリアの代表ルーベルトが一騎打ちと聞いたな」
シサー 「ロドはでかい街で、多くの代表者を輩出してるんだよな」
シェイン 「ああ。だが今回は少々旗色が悪そうだ」
ニーナ 「じゃあ、南部のベイリアの代表が?」
シェイン 「……と言う噂だ。と言うのも、トラファルガーの咆哮が聞こえてくるようになったらしいのでな」
カズキ 「げえええ。じゃあ休眠期終わっちゃったってこと!?」
シェイン 「まだわからん。ただ、そのせいで動揺した市民が武力派リーダーの南部代表ルーベルトに走ろうとしているとと言う」
シサー 「諸国のトップがどんなやつかってのは、こっちにも影響が出てくるからな。情勢は気になるところだな……」
シェイン 「まったくだ。ツェンカーはただでさえ重装歩兵が強力だ。加えて騎馬も侮れない。小さな領土だから人数は驚異的なものではないが、少人数でも敵に回せばかなり厄介となることは間違いなかろう」
シサー 「元々、小競り合いが絶えないせいでごく普通の市民が戦闘慣れしているしな。戦時に徴収される市民兵の強さは、ローレシア髄一かもしれんな」
ニーナ 「ただ、言霊魔法はあまり発達していないのよね。その代わり、北の妖精が1番多く住むのはツェンカーだから……精霊魔法はそれなりに強いはずだけれど、妖精は戦闘を嫌うから、戦争なんかにはあまり参加はしないし」
カズキ 「……ユリア、平気? うるさい?」
ユリア 「え? ううん。わたしもあまり、いろんなことを説明出来ないから……聞いているの」
カズキ 「そう?」
シサー 「優しいことで」
シェイン 「……ゲヌイト・オムニア・フォルトゥーナ・カウサエ・マナ……」
カズキ 「だからッ……魔法攻撃なんかしたら死ぬでしょ!? 俺ッ」
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B鉱業国マカロフ王国 |
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ニーナ 「んで、次行くわよ。ワインバーガとツェンカーから南へ下って、マカロフ王国ね」
シサー 「鉱工業地帯だな、ここは」
シェイン 「良質の鉱山があるからな。宝石なんかもマカロフ製の物は質が良い。ゆえに高値でやりとりがされる」
ニーナ 「あとは金融業ね」
シェイン 「ヴァルスは、マカロフとはこれまで取り立てて軋轢を起こしたことはない。が、帝国領内のナタリアやリトリアと国境を接しているゆえ、アルトガーデンとしては時折戦わざるを得ない相手でもあるな。結構な強国だ」
ユリア 「果実酒の輸出やお茶の製造なんかも盛んなのよね、マカロフは。スパイスなんかも確か、結構作っていたはずだわ」
シェイン 「さすがユリア様、良くご存知でいらっしゃる。賢明さに感服です」
ニーナ 「……激甘なのもいーかげんにしなさいよね……」
カズキ 「……んで? ここまでがアルトガーデン帝国外の国でしょ」
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C魔物不可侵の地 教皇領エルファーラ |
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シサー 「あとは教皇領だな」
カズキ 「ああそうだった。ローレシアに広く信仰されるファーラ教の聖地?」
ユリア 「ファーラより選ばれし大教皇がお治めになるエルファーラよ。地理で言えば、ヴァルスの東部にあたるわね」
シェイン 「教皇庁のあるヴェルヌ以外に大きな都市はこれと言ってない。と言って貧しいわけでは無論、ない。小さな質素な集落ではあるのだが、きちんと整備された集落がいくつか寄り集まっているのが、エルファーラだ」
ニーナ 「集落にはファーラ教の聖歌を元にした歌が、それぞれ独自で伝わっているのよね。まあ、地方独特の子守唄と言うか」
カズキ 「でっかい、聖なる森ってのがあったよね」
ユリア 「そう。エルファーラの中には、魔物はほとんど姿を現さないわ。大教皇の御力によって守られているの」
カズキ 「……んじゃみんなでそっちに移り住んじゃえば」
ユリア 「……幾らなんでも、大教皇に御負担をかけすぎよ、それは……」
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| 3.ローレシア大陸(アルトガーデン帝国) |
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@ロドリスの腰巾着ナタリア公国 |
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シェイン 「で、我らが帝国か」
シサー 「上からいけば、まあまずは……ナタリアか」
ユリア 「ナタリアは……これと言ってめぼしい産業のない国なのよね」
シェイン 「元々は、国としてまとまっている土地ではなかったようだな。ナタリアからリトリアに広く分布するガレイ民族がごく小さな家族単位の生活を散らばって営んでいた地域だ」
シサー 「ナタリア南部は、かつてはリトリアの支配下にあったんだよな、確か」
シェイン 「ああ。だが、帝国アルトガーデンが成立して間もない頃、リトリアと戦争を起こしたヴァルスがリトリアから分割し、現在のナタリアの基盤を作った。そして国から公家を派遣し、公国として治領させたのだ」
カズキ 「その頃はリトリアは?」
シェイン 「まだ独立国家だ」
シサー 「その後数百年し、直系嫡男の途絶えたナタリア公国の公女とロドリス王家に名を連ねる人物が婚姻関係を結び、以降、ナタリアはロドリスの腰巾着となるわけだ」
カズキ 「でも、随分前の話なんでしょ?」
シェイン 「王族とは系歴を重んじるのでな。それに、ロドリスの王家の人間が公王を後継したのは確かに随分昔の話ではあるが、王女がナタリアへ嫁いだ例は何度もある」
シサー 「今の公妃も、確かそうじゃなかったか」
ニーナ 「ちょこちょことロドリスの血が混じるから、ナタリアは嫁姑問題で内紛がしばしば起こるのよね」
カズキ 「……そんなとこでも嫁姑問題やってんの?」
ユリア 「仲良く出来ないのかしらね」
シェイン 「ユリア様のご憂慮はわかりますが、ロンバルトのアンジェリカ公妃は穏やかな人ゆえ……」
カズキ 「……何の話してるんだよ」
ユリア 「やだッ……そういうことじゃないわ、シェインッ……」
シサー 「ま、国内であまりロドリスに迎合するのを危険視する声も上がっているからな。親ロドリス派は公女勢力となり、反ロドリス派は公太后勢力となる」
カズキ 「で、肝心の公王は何してるわけ」
シェイン 「女性に挟まれれば、いつの時代も男とは弱いものだ……」
カズキ 「……何か違う気がする……。それで済ませて良い話なわけ、これ……」
シェイン 「ナタリアは、ヴァルス、モナ以外で海軍を持つ国でもあるが……恐らくモナよりも恐るるに足らぬだろうな」
ユリア 「なぜ?」
シサー 「ナタリアの海軍は、積極的にナタリアが保持したかったわけじゃない。ロドリスに推されて仕方なく保有しているものだ。軍事的に取り立てて目立つ点のないナタリアは、指導者の元に整然とした戦闘の仕方を好む。つまり、ロドリスが海軍を保有していないと言うことは、ナタリア海軍には先頭を率いてくれる指導者がいない」
カズキ 「そんな他力本願で良いわけ? ロドリスが見捨てたら、どうなんの」
シェイン 「ロドリスがナタリアを離れれば……ま、自滅だな」
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A伝統の王国リトリア |
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ニーナ 「ローレシアのほぼ中心地に位置するリトリアね」
カズキ 「地理を考えればリトリアってもっと勢力あっても良さそうな気がするんだけど。端っこのヴァルスより」
シェイン 「……何てことを言うのだカズキ……」
カズキ 「……だって……」
シェイン 「ま、リトリアは、現国王はさておき、元々は文化と芸術を重んじる穏やかな国家ゆえな。侵略戦争などを余り起こすような気質でもなかったのだ」
シサー 「だからこそ、リトリアにあるエルレ・デルファルは魔術師の学校としてローレシアに名を響かせてんだよ。魔術師ってのはそもそも戦闘要員なわけじゃねーし、学問だからな。文化と芸術の国ってわけだ」
ニーナ 「けど、そこへ来て現国王のクラスフェルドがちょっと曲者なわけ」
カズキ 「曲者?」
シェイン 「歴代リトリアを支えてきた文王と異なり、クラスフェルドは武王だ。政より戦争が好きだな。かつて、マカロフと戦争を起こして現在の領土にまでリトリアを広げた」
カズキ 「あ、じゃあ前はもっと小さかったの?」
シェイン 「ああ。ロドリスにも何度か戦争を吹っかけようと目論んでいるし、かつて自領であったナタリアも虎視眈々と狙っている」
シサー 「これも小競り合いは四六時中起こってるな。恐らく準備段階と言ったところだったのだろうが、そこへ来てヴァルスとロドリスの戦端が開きそうと言うわけだ」
カズキ 「じゃあ喜んでこっちに加勢してくれりゃあ良いじゃん」
シェイン 「が、ロドリスがリトリアに近接するガレリア地方を餌にぶら下げている。恐らくは、バートの様子を見ているのだろう」
カズキ 「何で?」
シサー 「バートもリトリアと国境を接している。出来ればバートの北部も手に入れたいだろう。リトリアがロドリスにつき、バートがヴァルスにつけば、リトリアは堂々とバートを侵攻出来る。が、ロドリスについた場合は友国だからな。攻めるわけにゃあいかんが、逆にリトリアがヴァルスにつけば、ロドリスの盟友となったバートを攻撃出来る。が、この場合はロドリス領地は実力で占領しなけりゃなんなくなる」
カズキ 「ふうん。そんで両天秤にかけてタイミング待ってんだ?」
シェイン 「ゆえに、リトリアはしばらく参戦を見合わせるだろうな」
カズキ 「ヴァルスも何か餌ないわけ。ナタリアがロドリスにつくんだったら、その旧リトリア領を戦争終了時にリトリアに返すとかさ」
シェイン 「そうしてリトリアを強大にするわけにもいかぬゆえな。難しいところだ」
シサー 「が、そっくり返還ってわけにはいかねえだろうけど、一部ならアリなんだろ」
シェイン 「ああ。一応、それを持ってヴァルス使者は交渉にあたっているはずだ」
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B遊牧国家キルギス |
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カズキ 「キルギスってのは何かあんまし、縁がない感じ」
シェイン 「そう言うな。こう見えてキルギスは、これまでの歴史を振り返って一度もヴァルスに叛旗を翻したことはないのだ」
カズキ 「……これまではっての、嫌いなんじゃなかったの」
シェイン 「それを未来にも強要しようとするのが好きではないのだ。歴史を疎かにしたいわけではない。……キルギスは元々あの辺一体を旅する騎馬の民だ。それが諸国の成立により侵入を禁じられ、次第に西へと追いやられていった。そして現在のキルギスの地に、足場を築いたのだ」
シサー 「元々が騎馬民族だからな。軍隊としてもその騎兵の強力さはローレシアでトップクラスだろう。馬も良質だし、騎乗技術も、どこの国にも劣らない」
シェイン 「ただ、あまり自発的に戦争を好む部族でもないのだ」
ニーナ 「帝国に名を連ねているって意識も、あんまりないのよね。だから皇帝位なんかにもさして興味がない」
ユリア 「キルギスがヴァルスを味方してくれれば……少しは状況も打開できるのにね」
シェイン 「ご案じなさいますな。キルギスがヴァルスにつくかはさておき、ロドリスにつくことはまずありますまい。キルギスの民は奸計を嫌う……ロドリスが裏工作を図って帝位継承者の暗殺を目論んだとあれば、キルギスの反感を買いましょう」
カズキ 「正直なんだ、キルギスの人って」
シサー 「と言うよりは、あんまり物事を深く考えるタチじゃねえんだな。だから権力だの帝位だのってのに、頭がいかない」
カズキ 「……なんか、馬鹿みたいじゃんそれ……」
シェイン 「ま、朴訥としていると言うことだ」
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C痩せた小国モナ |
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カズキ 「で、キルギスの南がモナ? 噂の?」
シサー 「リトリアの西部にもあたるな」
シェイン 「元々は、ヴァルスのお歴々が言うように僅かな領土しか持たぬ小国で、常にリトリアからの危機に曝されてきていた。それを帝国に組み入れてリトリアとの交渉でモナの領土を広げ、不可侵を約束させたのはヴァルスだ」
カズキ 「んじゃあ恩人じゃん」
シサー 「その恩人を裏切ろうとしてるわけだから、ヴァルスが分裂してんじゃねえか」
ユリア 「モナは土地も痩せているから大した産業もなく、海に面しているから海産物でやっていくのがせいぜい、といったところなのよね。けれど、国民もそれほど多くはないし、だから海運国と言えるほどの能力もない」
シェイン 「そのモナが強国にのし上がるには、まずは負担を軽減すべきだと考えたのだろう。まだ要求は突きつけられていないが、海上権の拡大と検疫料の免除は必須だな」
シサー 「いずれ、リトリア西部の伝統工業地帯の吸収をも視野に入れているかもしれんな」
シェイン 「つまり今のモナに必要なのは軍事力。現公王フレデリクはそのことに早くから目をつけていて、公位につくなり軍部の改革に取り組んでいる。海軍に関しても、元々父王が手をつけたものではあるが、フレデリクの代になって完成したと言えるだろう」
カズキ 「でも、じゃあ……」
シサー 「モナにとって、海戦は初戦となるな」
カズキ 「じゃあ、負けないんじゃないの、ヴァルス」
シェイン 「そうとも言い切れぬ。ヴァルスは確かに早くから海軍を保有していたが、そう何度も海戦を行った経験があるわけではないし、かつてラグフォレストと戦争を起こした後の不可侵条約で海軍の訓練を怠っている。対してモナは、海軍そのものが新しいと言うことは軍事訓練を繰り返しているはずだ。平和ボケしているヴァルス海軍が一概に勝てるとは言い切れぬ」
カズキ 「何で怠けるのさ……」
ニーナ 「しょーがないわよ。ローレシアでは海戦っていうのはほとんど起こらないんだもの。大体、海の魔物って怖いのよ?」
シェイン 「ヴァルスが頼みにするとすれば、こちらの方が大型艦隊を保有しているということだな。銃器の発達していないこの世界において、海上戦では船の高度が重要となる。が、逆に言えば大型船は動作が緩慢であり、モナの小型快速船の方が小回りがきく。その辺が戦況にどう影響するかだな」
シサー 「ま、あれほどの小国を自分の代で国力を大幅にアップしようって意気込みは、公王としては立派なもんだ。国民にとっては信頼に足る王となるかもしんねーな」
シェイン 「こちらにとっては良い迷惑だ」
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D2強国の緩衝帯バート |
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カズキ 「なんかバートってのもあんまり縁がない感じ」
シェイン 「まあ実際ヴァルスにとってそれほど重要な何がある国でもないな」
ユリア 「……そういう言い方ってないと思うのよ」
シサー 「めぼしい産業と言えば木材や何かの生活必需品の工業、取引、それと絹織物業が有名だな」
ニーナ 「でも、リトリアとロドリスの緩衝帯と言う役割は果たしているのよ」
カズキ 「でも間にないじゃん」
シェイン 「今でこそな。バートの領土をロドリスが併合したからな」
カズキ 「え? じゃあ争点の1つともなっているガレリア地方ってのは元々……」
シサー 「バートの領土だ。かなり昔のことになるが、ロドリスが侵略し、併合した。以来、リトリアもガレリア地方を狙っているわけなんだが」
シェイン 「バートはリトリアにとってもロドリスにとっても、側面に位置する国だ。2国が戦争を起こした際に最も巻き込まれやすい国でもあるが、同時に双方が味方として欲しい国でもある。ゆえに、双方バートの動向や情勢を常に気にしているのだ。これが緩衝帯の役割を果たしている」
カズキ 「ふうん。で、今回はどうなりそうなのかなあ……」
シェイン 「それはわからぬな。今回に関して言えば、リトリアは参戦するならバートへの侵略も視野に入れている。まあ、バートもリトリアも互いに互いの動向を見極めようとしているのだから……」
カズキ 「睨めっこしてる間に戦争が終わっちゃえば良いのに」
ニーナ 「……カズキ……」
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E最大の仮想敵ロドリス |
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ユリア 「そして、ロドリス……」
シェイン 「つくづく厄介な国だな、ロドリスは」
シサー 「ロドリスもまた自然の恵みの豊かな土地だな。僅かだが鉱山も持つし、自然が豊かだ。川や湖も多く、果実や穀物の栽培が盛んに行われている」
カズキ 「つまり農業国?」
シェイン 「と言えるだろう。総じてロドリスはヴァルスと似ている部分がある。ミニヴァルスとでも言おうか」
カズキ 「それって凄く『青の魔術師』あたりに嫌がられそうな表現なんですけど」
シェイン 「ヤツが嫌がろうが何だろうが、俺の知ったことではない。余計な画策をせねば良いのだそもそも」
カズキ 「まあ、彼には彼の事情があるわけで……」
シサー 「ただ、海には弱いな、ロドリスは。無論、漁業は盛んに行われてはいるが、さほど海上勢力を広げようともしないし、海軍を持つわけでもない。陸地の勢力拡大の方が興味があるらしい」
ニーナ 「左右に海を持つ割には、意外なのよね」
ユリア 「内部の恵みが豊かだからじゃないのかしらね。ヴァルスもかつては農業国だったわけだし」
シェイン 「全くおっしゃる通り……。ロドリス人は気質として上品でプライドも高い。新しいことに果敢に挑戦しようと言う姿勢よりは、現状を保持しようとする発想にある。現国王カルランスもその傾向が顕著ゆえ、『青の魔術師』も唆すのはそれなりに大変だったやもしれぬな」
シサー 「いずれにしても、現在ロドリス宮廷で権力を握っているのは宮廷魔術師セラフィと、王の寵姫アンドラーシってわけだ。宰相のユンカーは貴族をまとめるには適しているが、いまひとつ弱気な部分がある」
ニーナ 「セラフィとアンドラーシのその辺りが……今後、何らかの展開をもたらす鍵ともなるかもね」
カズキ 「どうでも良いけど、グレンフォードと対峙するのは凄く嫌なんですけど」
シサー 「変人グレンフォードの過去と秘密と言うのが……その強さを解き明かす鍵にはなるんだろうけどな。もしかするとそれが……セラフィの目的を解き明かすことにも繋がるのかもしれん」
カズキ 「なんて意味ありげなこと言っちゃって良いの? 知らないよ、俺」
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Fヴァルスの盟友ロンバルト |
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ユリア 「レガードの祖国ね」
カズキ 「ロンバルトってロドリスとヴァルスの間にあるから……これこそ緩衝帯ってやつじゃん?」
シェイン 「まさしくその通りだな。ロンバルトがそこになければ、ヴァルスとロドリスはとっくの昔に戦争が勃発しててもおかしくないからな」
カズキ 「ってかしてんでしょ? 勃発。前に」
シェイン 「ああ……ロドリスを中心とした叛乱か。が、あれはアルトガーデンに対する叛乱だからな」
カズキ 「違いが良くわかんないよ」
シサー 「何を要求するかだろう。アルトガーデンに仕掛けるのと、ヴァルスに仕掛けるのとでは敵に回す勢力も違うし要求する内容も異なる」
カズキ 「んじゃあ、今回のは」
シェイン 「今回のはアルトガーデン継承戦争にあたるな。なぜなら戦争を起こす理由が、アルトガーデンの皇帝位継承者の話であって、表向きにはヴァルスの継承者の話ではない。セラフィの意図がどこにあったとしてもな」
ユリア 「話が逸れてるわ。ロンバルトよ」
ニーナ 「ロンバルトは、本当に綺麗な国なのよね。湖や泉が多く湧いていて、至るところに森がある。空気の綺麗な国よ」
ユリア 「豊かな鉱山もあるし、果樹園も多いわ」
シサー 「小さいながら……いや、小さいからこそか、良く整備されているし、守られている。国としての手入れも行き届いているし、人々も穏やかだしな」
シェイン 「だからこそ、戦時において盟友がロンバルトのみと言うのは心許なかったりもするのだがな」
カズキ 「ロンバルトは、弱い?」
シェイン 「まあ……あまり軍事に力を入れる国ではないな。無論、獅子が率いる羊の群れは、羊が率いる獅子の群れに勝る。ゆえに、陣頭にレガードが立てば状況は異なろうが、生憎レガードは行方不明だ」
カズキ 「……俺に陣頭指揮なんか間違ってもさせないでよ」
シェイン 「……安心しろ。いくら何でも兎に羊を率いらせるような真似は俺には出来ぬ」
カズキ 「……どういう意味?」
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| 4.ヴァルス王国 |
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@シャインカルク城 |
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カズキ 「ま、まあ良いや……。で、ヴァルス。どっから? やっぱりお城?」
ユリア 「シャインカルクはローレシアでも比類ないほど美しい城と言われているの。建設されたのはおじい様の更におじい様の代にあたるのだけど。今尚輝く白亜の壁を持ち、空色の屋根に蔦を絡ませる美しさを保っているわ」
カズキ 「ふうん? ディズニーランドのシンデレラ城って感じだよね……」
ニーナ 「なぁに? どこのお城?」
カズキ 「や、別に……」
シェイン 「王城には王族は無論のこと、我々高位官や下働きの者など、多くの人間がそこで寝食をとる。ま、共同住宅状態か」
カズキ 「その言い方だとあんまりにも夢がないんですけど」
シェイン 「事実であろーが」
ユリア 「王族はそれぞれ、1人につき1つの館が与えられるわ。もちろん子供はある程度の年齢に達しなければ母親と共に暮らすのだけど……。そしてその全てが、シャインカルク城と繋がっている……どう言えば良いのかしら。王族の居館と公共の政の場とが繋がりあって城を形成していると言えば良いのかしら」
シェイン 「大変わかりやすいご説明かと」
カズキ 「……(そうかぁ……?)」
シェイン 「そしてそれとは別に、宰相、宮廷魔術師にはそれぞれ敷地内にやはり居館が与えられる。これは火急の際にいつもで対応が利くようにと言うことだな。無論、城外にも屋敷を持つがそこへ戻ることはほとんどないと言える」
カズキ 「シェインもどっかに家持ってるの?」
シェイン 「俺の場合は、故郷のアンソールと言うことになる。特に独自で館を構える必要性がないのでな。ラウバルは……知らぬ」
シサー 「んで、ヴァルスの場合は宰相、宮廷魔術師の他に大司祭がいる。大司祭はそのまま、大神殿に居住していると言うことになるわけだが」
ユリア 「あとは、各大臣には私室が与えられるわ。これはシャインカルク城内になるのだけど」
シェイン 「そして、各職務により執務室が用意されている。これは職務により城内であったり館が別途与えられていたりするな。例えば侍従長などは城内におらねば話にならぬゆえ、女官などを取り纏めるフロアや部屋があり、職務をやりやすいような場所に執務室が用意されているが、将軍などは禁軍と共にバイラー館を与えられ、そこに執務室が用意されている……と言うような具合だ」
カズキ 「……どんだけ莫大な敷地抱えてんの」
シサー 「1度、隅々まで巡ってみたらどーだ? もう元の場所には戻れねぇかもしれねぇけどな」
カズキ 「う、嫌だ……」
ニーナ 「シェインなんか見てるもんだからわかんないけど、結構身分区別ってのが厳しいのよね、お城は」
シェイン 「まあそうだな。通路なんかが色分けされている理由もそこにある。奴隷制度も、盛んではないがないとは言えぬのが現状だ」
カズキ 「え!? 奴隷制度なんかあんの!?」
シサー 「身分社会の常だな。良く言われるようにヴァルスは歴史や経歴を重んじる。それは身分を重んじると言うことにほかならない。ま、俺が禁軍にいらんなかった理由のひとつでもあんだけどな」
ニーナ 「元々、裕福な家を飛び出して来てこんな放浪生活やってるくらいだものね」
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Aレオノーラ |
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シサー 「レオノーラはなんつーか……上品に栄えてる街、だよな」
ニーナ 「王のお膝元だしね。ギャヴァンなんかとは空気感はだいぶ違うわよねー」
シサー 「ギャヴァンはちと品がねぇんだよな、むしろ……」
シェイン 「とは言え、ヴァルスの民の気質と言おうか、鷹揚ではあるな。上品ではありながらすましていると言うわけではない。商店街なんかも、和気藹々と協力し合って生活している」
カズキ 「流通とかってのは、やっぱ良いんだ?」
シサー 「あらゆる物がレオノーラに集まってくるな。大陸を通って北へと向かう物資は必ずレオノーラを通過する。豊かな街だよな、ホント」
シェイン 「物が集まれば人も集まるゆえ、栄えると言うわけだ。王都は国の顔でもあるから、やはりこちらも整備には力を入れる。整然と街並みが美しいのはその為だ」
ユリア 「『レオノーラ』と言う名前にも、『美しい貴婦人』と言う意味があるのよ」
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B浄化の森 |
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カズキ 「最初に俺が拉致られて来た場所だ」
シェイン 「ちょっと特殊な魔法道具を使用したのだが、正直どこに出るか明確な指定が出来なかったのだ。シャインカルクやレオノーラのどこだかに突如その顔が湧いて出るのは少々不都合ゆえ。『浄化の森』と言う場所を選んだのだ。あそこならばどこに湧いて出ようが人目には触れぬし魔物も出ぬだろう」
カズキ 「……湧いて出るってどうよ?」
ユリア 「でも、レイアだけじゃあやっぱりレオノーラやシャインカルク内が心配だから……キグナスにも行ってもらったの」
シサー 「ニーナたちエルフの国へ通じる道があるのはあの森なんだよな」
ニーナ 「そう。エルフの長が守っている森でもあるわね。大きくはないけれど、豊かな森なのよ」
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