「神田の家に電話しても誰も出ないんだよ。まさか一家で海外旅行に出かけてるってわけでもないだろうしなぁ……」
……それはねーだろう……。
悟や高岡、藤村、西野、その他一矢のバンド連中なんかがみんな一矢の行方を計りかねていた。
6限を終えて帰り支度をしている俺に成瀬が近付いて来る。
「お昼休みに3年の野沢さんって人が来たよ。放課後来てって」
「あ、ほんと」
何かわかったのかな……。
廊下に出て行くと成瀬が鞄を持って慌てて俺の後を追いかけてくる。
「ねーねー、わたしも行っていーい?」
「あ、うん」
「神田一矢のことでしょ?」
「そうだけど」
成瀬も心配してるのかな。……あれ?
「大宮さんは?」
廊下を並んで歩きながら聞くと成瀬は口篭もった。
「ちょっと、その……用があるって、あの……」
「一矢ん家でも行った?」
「え」
わかりやすいなー。図星ですって顔に書いてある。
「な、何で?」
何故だか成瀬があたふたしながら尋ねる。
「だって……大宮さんって一矢のこと好きなんだろ?」
「そそそそそんな」
「だから俺は別に良いんだってば」
思わず苦笑した。全く誤解してるんだから、この人は。
「俺は大宮さんが可愛いって言っただけで、別に好きとは言ってないぜ?彼女が誰を好きでも俺には別に最初から関係ないわけで」
「……そう?」
「そう。……でも、一矢ん家行っても無駄だと思うけどな。誰もいないと思うよ多分……」
成瀬が変な顔で首を傾げた。
「誰もって……おうちの人は?」
「……電話かけてもいつ行っても、誰も、いないんだよ」
階段を降りて3−Aの教室を覗くと残ってるのは和希となつみだけだった。
「和希」
声を掛けると和希が振り返る。
「おう。啓一郎」
それから成瀬を見て首を傾げた。
「あれ?君、さっきの」
「あの、橋谷くんと同じクラスの、成瀬です。成瀬南斗」
成瀬は少し緊張したように頬をぴくぴくさせながら頭を下げた。……和希、かっこいいもんな……。でも何か面白くない。
「あ、どうも……野沢です」
「秋名です」
なつみも並んで頭を下げる。それから冗談ぽく笑って続けた。
「なぁに?啓一郎くんの新しい彼女?」
おお、なつみ。何て良い奴なんだッ♪と思ったら、成瀬が力いっぱい全開で否定した。
「ち、違いますッ……!!」
……まあねー。それ以外言いようがないしねー……。いいんだけどねー……。
「それより……一矢、どうしてるかわかった?」
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